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診療関係2020-08-24

検査機器カタリストDx導入しました 検査項目T4とは

T4は甲状腺の病気を調べるための検査項目です。

犬では甲状腺機能低下症、猫では甲状腺機能亢進症が主に

認められます。どちらも大事な病気ですが、特に猫の

甲状腺機能亢進症は診断する機会も多く、命にも関わる

大切な病気ですので、院内でT4を測定できるのは病気の

早期発見に役立っています。

甲状腺機能亢進症の症状として、体重減少、多食、食欲低下、

多飲多尿、攻撃性など行動の変化、嘔吐、下痢、脱毛、頻脈、

呼吸困難、発咳などが報告されています。

分かり易い症状は『食欲が増したのに痩せてくる』であり、

国家試験の勉強の時も、この病気の代表的なワードとして

教わったのですが、臨床で実際遭遇する症例は、逆に食欲低下

している症例も多くいますし、単純ではないと感じます。

実際に診断した症例としては、長い間下痢、嘔吐が治らない、

肝臓の数値がずっと高いといった主訴で来院する老齢猫が

多いと感じます。

また、この病気では肥大型心筋症という心臓病を合併して

くるため、これが特に命に関わります。肥大型心筋症があると

血栓ができやすくなり、これが大動脈血栓症という病態を

引き起こすことがあります。腹大動脈という場所に血栓が

詰まると、下半身の血流が悪くなるため、突然後ろ脚が冷たく

なり全く動かなくなります。同時に強い痛みを伴うため、

猫では開口呼吸がみとめられます(肺水腫を併発しており、

本当に呼吸が苦しい時もあります)。血流阻害の程度や時間に

よって予後は様々ですが、亡くなる危険性が高い病態です。

当院でも救急で電話が掛かってきた時に、後ろ足が上手く

動かないみたいで、苦しそうな呼吸をしていると聞くと

大体この病気であり、老齢の猫であれば、基礎疾患として

甲状腺機能亢進症があることがほとんどです。

この様な危険な状態を予防するためにも、上記の症状で悩んで

いたり、特に体重が減少してきている子は、高齢だからだろう

と様子を見ずに、一度検査することをお勧めします。