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診療関係2025-01-24

エコー検査について 脾臓

こんにちは!院長の藤野です。

今回のブログは超音波検査(エコー検査)についてです。

日々の診療の中で、ワンちゃんネコちゃんに大きな負担をかけず

に大事なことがたくさん分かりますので重宝している検査です。



【超音波検査でわかることは?】



各臓器(心臓、肝臓、胆嚢、腎臓、脾臓、胃、小腸、大腸、

膀胱、副腎、前立腺、子宮、卵巣など)の形態や構造がお腹や

胸を開けなくても分かります。

つまり腫瘍の発見に特に役立ちます。

各臓器ごとに検査の必要性をお伝えしていきます。

今回の臓器は脾臓です。

第1回目の臓器として脾臓を選んだのは、他の臓器に比べて、

早期に腫瘍を見つけることで完治しやすい臓器だからです。

また、症状に乏しくエコー検査でないと中々分かりません。

何故腫瘍が完治しやすく、エコー以外では見つけにくいのか?

それは、脾臓とはどういう臓器なのかを理解してもらえれば

分かっていただけると思います。



【脾臓とは?】



脾臓は血液の濾過、貯蔵や免疫のサポートを行っていますが、

肝臓やリンパ節が働きを補えるため無くなっても

基本問題のない臓器です。

無くても問題ないので、異常ができても症状に乏しく

肝臓、腎臓と同じく沈黙の臓器と言えると思います。

無くても問題ないなら放っておいても大丈夫では?と

思われるかもしれませんが、

腫瘍ができると放っておけない臓器になります。



【脾臓にできる腫瘍とはどんなもの?】



脾臓腫瘍は血腫や結節過形成など良性腫瘍もあれば、

血管肉腫のようなとんでもなく悪い腫瘍もあります。

悪性腫瘍の確率は半分程とされていますが、脾臓は良性腫瘍で

あっても放っておけない理由があります。

脾臓はとても血流が豊富な臓器であるため、良性であっても

破裂すると腹腔内で大出血を起こし命に関わります。

滅多にはありませんが、一度だけ

突然死した子も経験しています。



【腫瘍は完全に摘出できるのか?】



脾臓は基本的に無くても問題のない臓器ですから、

腫瘍ごと脾臓全てを摘出することで 完全切除できます。

また、他の臓器に比べれば安全に摘出可能な臓器です。

一度でも破裂したために癒着がある、

または出血中の脾臓を摘出するのはかなり苦労しますので、

そうなる前に早期発見、治療を行いたい腫瘍です。

全身麻酔をかける手術である以上、絶対大丈夫ということは

ありませんが、積極的に行う価値のある手術だと思います。



【悪性腫瘍(癌)も摘出すれば大丈夫?】



残念ながらワンちゃんの血管肉腫、ネコちゃんで多い

肥満細胞腫などの悪性腫瘍は、完全摘出しても転移している

可能性が高く完治は難しいです。

できる限り早期に発見して治療したいですね、


いかがでしょうか?

簡単にまとめますと

・ 脾臓は無くても大丈夫な臓器だから、症状、検査で
  異常がで分かり辛い

・ 無くても大丈夫だけど良性腫瘍でも破裂する危険性が
  あるから放っておかない方が良い

・ でも無くても大丈夫だから、腫瘍ができても
  早期に完全摘出が可能


改めまして、そこで役立つのが超音波検査です。

脾臓腫瘍は超音波検査で簡単に見つけることができます。

当院で脾臓腫瘍が見つかる時も健康診断などで 偶発的に

見つかることがほとんどで、それ以外は

破裂して危険な状態で来院いただいた時に見つかっています。

破裂して死んでしまった時、すでに転移して手遅れな時に、

調べておけば良かったと強く後悔する臓器です。

今回書こうと思った1番の理由は、血液検査の健康診断のみを

お勧めして、エコー検査をしていなかったために

助けられなかった子達を何度か経験したからです。

伝えておけば、あの時検査しておけばと後悔することが

少しでも減るように、書かせていただきました。

ご希望があればいつでも検査できますので、

お気軽にお問い合わせください。


※ 下に手術写真やエコー写真を載せております。

  気分が悪くなる可能性のある方は閲覧をお控えください。











































摘出された脾臓です。舌のような平べったくて長い臓器です。
中央のやや上部にある膨らみが腫瘍です。

腫瘍部分を横から見た写真です

エコーだとこんな感じで確認できます

シーリングシステムと呼ばれる縫合糸を使わずに
止血、組織の剥離を行えるデバイスを使用することで
比較的簡単に摘出可能です。