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スタッフブログ2024-12-18

災害への備え

こんにちは!院長の藤野です。

先日11月10日に県獣医師会主催のペット防災セミナーがありました。

当院でもお知らせをさせていただき、参加された方もいらっしゃるかと思いますが、

とても有意義なセミナーでしたね。

ペットの命はあなたが守るをテーマに、ペットを助けるための責任は全て

飼い主にあるという気持ちで行動することが大事だと教わりました。

いざ災害時に行政の助けを期待するのではなく、自分自身で十分な備えをしておく

必要があるということですね。

そのためにも想像することが防災への第一歩ということで、セミナーの中では

『想像する』という言葉が頻繁に使われていました。

みなさんは災害に対してどこまで想像して、どれだけの用意をしていますか?

僕自身も十分に備えられてはいませんでしたので、セミナーで学んだことを生かし

獣医師として発信すべき必要な情報をお伝えしたいと思います。

しっかりと備えるために特にお伝えしたいこととして、


同行避難、同伴避難とは?

しつけと健康管理の必要性

生き別れないための対策

避難用品や備蓄の確保


以上のことをお話させていただきます。



同行避難、同伴避難とは?



災害が起きた時にペットちゃんを避難所に連れて行くことを想像したことはありますか?

地震などで家屋が急に倒壊した時はどうしようもないでしょうが、

この辺りだと水害などで避難が必要になることがあると思います。

ペットちゃんを連れて避難行動を取ることを『同行避難』と言います。

恥ずかしながらこの言葉すら知らなかったのですが、2013年に

環境省が策定した「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」にて

推奨されています。同行避難が推奨されるようになった背景には、

過去の災害で、ペットちゃんを家から連れ出せないことを理由に自宅に残り

命を落とす事例があったことや、東日本大震災で、

一時的な避難と思いペットちゃんを家において避難したところ、

警戒区域に指定され家に戻れなくなり、結果として多くのペットちゃんが

餓死したり、行方不明になった事例などが理由としてあります。

飼い主、ペットちゃんの命を守るために推奨されているのが同行避難となります。

同行避難をした先の避難場所として、避難所で一緒に過ごすことを

『同伴避難』と言います。避難所ではなく車中泊も選択枝としてありますが、

エコノミークラス症候群、熱中症、低体温症、一酸化炭素中毒、

救援物資情報の不足などのリスクはあります。

また、東日本大震災では凄まじい渋滞、ガソリン不足による給油待ちの

行列などもあり、車で動けない可能性もあります。

避難となった時は避難所に連れていく同伴避難を

想定していくのが先ず大事だと思います。

それぞれの避難所がどこか?ですが、この辺りでは特に特定の避難所はなく、

どこへ行っても大丈夫だそうです。しかし、そこでどう対応してもらえるか

(ペットちゃんと一緒の空間で過ごせるか、別室か、外か)などは

避難所により分からない状態です。

世の中にはペットちゃんが苦手な方やアレルギーの方もいますので、

別室や外になる可能性が高そうです。

そうなると大事なのが次のお話です。


しつけと健康管理の必要性


飼い主と離れてケージの中で長時間過ごすことができるしつけが

されていること、また、感染症をうつしあわないように予防を

しっかりしているかということですね。

しつけとしては、他の子に吠えない、ケージの中に入ることを嫌がらない、

人や他の動物を恐がったり攻撃的にならないなどです。

うちの子はとりあえず大丈夫そうですが、普段ケージに入れてはいないので

その点は心配です。しつけに関しての悩みは、当院の男性看護師が

トレーナーですので、相談に乗らせていただきますのでお声がけください。

予防ですが、避難所によってはワクチン接種証明書(あるいはワクチン抗体検査証明書)、

狂犬病接種の有無、ノミ、マダニ予防などがしっかりされていない場合、

預かってもらえない可能性もあるようです。いつ災害が起きるかは分かりませんので、

予防はしっかりとしておいて、混合ワクチンの接種証明書や

狂犬病の鑑札などはすぐに持ち出せるようにしておきましょう。



行方不明にならないための対策



地震などで窓や入口が破損し、またパニックになることでペットちゃんが

逃げ出してしまうことがあります。狂犬病の鑑札や迷子札なども大事ですが、

外れてしまう可能性もあります(特に猫ちゃんの力が加わると外れるタイプの首輪)。

その点、マイクロチップであれば無くなる心配はありません。

令和4年6月1日から販売業者は義務となり、飼い主の方は努力義務となりました

(挿入後の登録申請は義務です)。当院ではあまり強く勧めてはいませんでしたが、

特に当院に来ていただいている猫ちゃんの多くは保護猫で、

マイクロチップが入ってない子が多いので、改めて啓発していきたいと思います。

東日本大震災では1年半以上離れて再開できた事例もあるそうです。

万が一離れ離れになっても再開できるように備えておきたいですね。


避難用品や備蓄の確保


災害時には人の支援が優先されるため、ペットちゃんの支援物資は

遅れる可能性があります。いざというときに備えてフード、常備薬は

多めに用意しておくと良いですね。

備蓄品を考える上で、ライフラインの復旧にどれくらいかかるかですが、

東日本大震災では地震発生から復旧までに電気5日、水道24日(熊本地震では7日)、

ガス34日かかったそうです。生命に一番大事なのは水分ですから、

最低でも1週間は備えたいですね。必要な水分量の目安は

体重1㎏あたり1日100mlです。人用のもので良いですが、

ミネラルの多い水(硬水)は膀胱結石の原因になるので避けましょう。

薬は東日本大震災では1週間でほぼ流通が回復したそうです。

しかし、かかりつけ病院が被災すれば処方が困難になることもありますので、

多めに用意したいですね。特に心臓病、てんかん発作などの薬は1週間も

飲まなければ命に関わる可能性があります。薬は無くなるギリギリで

補充するのではなく、常に1~2週間分の余裕がある状態を保てると良いですね。

このように人でも必須な水や薬は1週間ほどで支援される可能性がありますが、

ペット用品は大幅に遅れる可能性があります(輸送車が緊急車両に

認められないそうです)。必要なものとしてフード、ペットシーツ、

猫砂(他のものでも代用は可能だがストレス軽減=膀胱炎、尿道閉塞予防のため)、

ウンチ袋などです。

特にフードは日頃与えているものが支給されるとは限りませんので、

普段好き嫌いが強い子や、治療のために療法食を与えている子は

1カ月分は用意しておきたいですね。

いかがでしょうか?

日頃から防災意識の高い方にはご存じのことだったかもしれませんが、

この内容が少しでも災害時に対して役に立てばうれしいです。

ペットちゃんの命の責任は飼い主にあり、守ることができるのも飼い主だけです。

しっかり想像して備えるようにしたいですね。